水俣第3中学校体育館
新建築 2000.6/HEAVY TIME増刊 1996.10
所在地/水俣市
主要用途/体育館
構造・工法/RC造+木造+鉄骨造
規模/地上1階
   敷地面積 19890㎡
   建築面積 1666.9㎡
   延べ床面積 1420.9㎡
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水俣市にある市立中学校体育館の建て替えである。
 既存の体育館の2倍の広さの要求に比べて、既存と同位置での計画は非常にタイトな敷地条件となった。東側及び北側に既存のプール施設、南側には一般教室棟、西側には、道路後退の必要がある2項道路と八方ふさがりの敷地形体であった。そのためアリーナの基本配置は自動的に決定されたが、要求の短辺方向のスパンとアリーナの高さを確保するためには、東側プールに可能な限り近づけることが必要となり、(最終的にはプールサイドの一部を撤去、一体化させた。)プールのアプローチを東側に迂回する形をとることとなった。また主要な入り口は、既存校舎出入り口と最短で結ばれる位置とした。その結果校門側からは死角となるため、学外の利用者のために、キャノピーを大きく張り出すことで、動線の視覚化を計った。
また西側道路は配置計画に対しては、制約条件となっているが、主に歩行者のみの道路であること、澄んだ水の流れる水路をともなっていること、心地よい曲線を描いた道であることなどから、良好な環境の通学路、生活道路となっている。そのため前面道路からの高さ斜線制限の規制が厳しいことも要因としてあるが、西側にたいしては極力低く押さえ、住宅のスケールに合わせた。またアリーナの西日に対する採光調整と近接住宅に対する音・反射光の制御の機能を持たせるため、木壁の閉じた形体とした。逆に東側には近接してプール施設が、その先にはグラウンドが広がっていることを意識して、それぞれの体育施設が視覚的、機能的に一体となることを計り、大きく開いた開放的な形体とした。プールサイドには、本工事でカットした部分に新たに木製デッキを設け、その上部に体育館の屋根を大きくせり出し、日よけの役割を持たせた。その先にある渡り廊下は、グランド使用時の休憩所として、また雨天時の練習場として、ミーティングスペースと一体となって利用されている。
アリーナの構造形式は、RCラーメンを主構造とし、屋根部分を地元杉材の木造大断面集成材と鉄骨によるハイブリッド構造としている。またミーティングスペース、ホールのある低層部は、RC壁構造一部木造とし、EXP-Jによりアリーナと連結されている。
環境への配慮を重視する水俣市にとって、自然な素材の採用は、必須の要件として考えられた。そのため法規上の準耐火建築物としての性能確保の要求に対し、外壁耐火構造(木壁部分の下地はケイカル板の2重張り)の形式をとることで、内外ともに木材を多く使用し、また外部露出の木材は全て、燻煙乾燥処理を施すことで、薬剤の不使用と耐久性の向上を計った。