ふれあい館
集成材建築 1995.2/新建築 1993.1
所在地/熊本県水俣市
主要用途/多目的広場
構造・工法/木造一部RC造
規模/地上1階
   敷地面積 1713㎡
   建築面積 632.2㎡
   延べ床面積 632.2㎡
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敷地は南側にJR水俣駅、東側にそのプラットホームと長く接する位置にあり、同時期に計画された駅交番と共に駅前広場の一画を形成している。そこに水俣の玄関口としての新しい顔づくりと、さらに駅として本来備わっている様々な情報の交換・人々の交流の機能をさらに強化するため、この施設は計画、建設された。
 水俣市は現在「環境創造」をテーマにまちづくりを行っており、この計画もその方針に沿って使用する材料は極力自然に近いもので、素材そのもの表情を生かした使い方をすること、さらに建物形状も自然を想起させるよる様なものとすることが、話し合いの初期段階で方向づけられた。そこで採用されたものが地元の杉材を加工してつくられた構造用集成材であり、これは公共建築としての地場産業育成の役割をも果たすものであった。
 形状は10本の木々が枝葉を広げて大きな空間をおおっている様を意図しており、構造的にはX方向 (桁行)は4つのK型トラス、Y方向(梁間)は2ヒンジの扇形フレームによるラーメン架構とし、前後部の張りだし部分は、棟部のトップライトをキール(三角形トラス)とすることで強度と剛性を確保している。
 現在大屋根の下では定期的な朝市や市民コンサート、集会等の利用の他、日常の風景として、地元の老人会から提供された長椅子では列車の待ち時間をのんびり過ごす人、東側の木製デッキではプラットホームに向かって見送りする家族の姿を見ることができる。